香木
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香木とはいかなるものか。
香木とは、東南アジアに生えている、ジンチョウゲ科の木できるものです。
台風での破損や虫などによりできた傷口から樹液がでて固まり、倒木や立
ち枯れた後でも、この樹脂部分のみが腐らずに残り、長い年月をかけて熟
成されて芳香を放つ香木となります。
香木でも水沈む重い比重の香木を沈香といい、その中でも特に素性・樹脂
・香気の質の大変いいものを伽羅・・きゃら と呼びます。最高級品の伽羅
では、1グラムにつき一万円以上するものがあるそうです。
歴史的には、6世紀頃に香木が中国から日本に伝えられたといわれていま
す。日本書紀には、推古天皇三年(595)「夏、淡路島へ一抱えもある沈香
が流れ着いた。島民が薪として竈で焚いたら、その煙が遠くまで良い香り
を運んだ。島民は、これは不思議だと言って、宮廷に奉った。」とあり、これ
が香道界の通説となっています。
東大寺の正倉院には、聖武天皇の時代に中国よりもたらされたかの有名
な黄熟香・・おうじゅくこう(通称:蘭奢侍・・らじゃんたい 東大寺建立の頃
734年に収蔵。)と光明皇后が献納した全浅香・・ぜんせんこう(752
年)が納められています。蘭奢侍には足利義政・織田信長・明治天皇が切り
取ったあとが残っているそうです。
平安時代には、貴族(天上人)の間で衣服や髪や日用家具まで香を薫き込
める「空薫物」や特徴ある香りを調合して出来栄えを競う為に香を薫き比べ
る「薫物合」の習慣が始まります。
その後、鎌倉時代などの武家社会になると沈香一木を賞味する「一木聞き」
や「香合」が盛んになり、室町時代では「沈香」を主に用いた香道という文
化にまで発展します。
江戸時代には、名将たちが香人として香木を所持するようになり、やがて貴
族から町人に至るまで香をたしなむようになりますが、明治になると文明開
化の煽りを受けて、あまり香道も顧みられなくなります。